もう、後戻りはできない。
 
私はそう心に誓い、アキラの
手をとり、その腕に抱かれ
私の全てを彼に捧げた。

それなのに私は今、イサオさん
の腕に抱かれ、彼の匂いに
どんどん心は落ち着いて行く
 
このまま抱かれ、離れたくない
とさえ思う。

彼の低い声が、今は亡き恋人の
名を呼ぶ。
 
その事こそが、涙が流れた理由
 
本当の私・・・

私は、イサオさんの腕から
離れた。
 
ううん、違う・・・

私は、アキラを愛している。

アキラに、私の傷の全てを
知られる事がとても怖い。
 
私が義父や見知らぬ男に
犯された事実を、彼が知り
アキラに拒絶された時

私はもう・・・

生きてはいられない・・・