私は、アキラに何も話す事が
できないまま、二人の
共同生活は続く。
 
黙っている事が、とてつもなく
卑怯な事に思える私は言えない
自分自身の事を嫌いになり
鏡に映る自分に苛立っていた

ソファーに座り、二人は
寄り添い、テレビを見ている
 
「そうだ、ミオ
  
 今度一緒にアニキの工房へ
 行こう
  
 製作も一段落ついたらしい
 から一緒に酒でも飲もう
 
 そう、アニキが」

アキラはコーマシャルになった
うるさいテレビの電源を切る

「うん
 私もイサオさんに会いたい」

「ミオはアニキが好きだね」

「好きよ、アキラより・・・
 
 うそうそ
 私にはアキラしかいない」

「俺にもミオしかいない・・・
  
 ミオ、この部屋で一緒に
 暮す事、考えてくれた?」

「あの部屋、気に入ってるの
 どうしよう・・・」