壊れている彼の心が
私には理解できない。
 
「どうして・・・あの時の
 私はヨウちゃんに夢中だった
 
 ヨウちゃんが好きで好きで
 堪らなかった
  
 そんなアナタの事を私が
 裏切る訳がない」

私の言葉を受けて、彼は
とても悲しい表情を浮かべた

「母さんも俺を好きだって
 言ってくれたよ
  
 おまえが、この世で一番
 可愛いと・・・

 だけど兄さんが死んだ時
 アイツは俺に言った
  
 大好きなレイジを
 私に返してよ・・・と」

彼の心をずっと支配していた
のは、そんなにも重い言葉
だったなんて・・・

「俺は、幼い頭で思った
 
 母さんは本当は俺よりも
 兄さんをこの世で一番
 愛していた事を・・・

 女なんてみんな嘘つきさ
 
 おまえも俺を好きだと
 言いながら、きっといつか
 俺を裏切ったはず」