私が、これまで歩いて
来たように、彼もまた
自分の人生を歩いていた。

『会いに行くよ・・・』

その、彼の言葉だけが
耳に残る・・・

「知ってる人?」

「彼は、今、母が入院している
 病院の息子さんです・・・」

「アニキから聞いたよ
 
 お母さんの事、心配だね
 でも、もうすぐ退院できる
 みたいでよかったね」

「はい」

私の言葉は詰まる・・・

それ以上話をしたく無い 
私の想いを感じとった
アキラさんは、その後は
もう何も聞かなくなる。