義父は、イサオさんの頭から
つま先までを見定める。
 
「やめて・・・
 それより何の用事なの?」

「母さんが倒れたんだ
 今すぐ病院へ行こう
  
 ほら、お前が以前に
 付き合っていたヨウジとか
 言う奴の親の病院に昨夜
 担ぎ込まれたんだ
  
 君、良ければ、そこまで
 送ってもらえないかな」

私は、母親が倒れたと言う事実
とヨウジの名前を聞いてひどく
混乱して震えが止まらない。

「私も一緒に伺います
 彼女の事が心配なので・・」

私は助手席で、両手を何度も
組み変えたり、足をバタバタ
させて落ち着き無く座っていた

イサオさんは、ハンドルを
握っていない方の手で私の手を
繋いでくれた。

私の全てを知るイサオさんが
傍に居てくれる。
 
繋がれた手の温もりで私の心は
落ち着いて行く。
 
彼の存在は、私にとって
こんなにも大きくなっていた。