「セリの俺への気持ちには
 もう、ずっと以前に
 気がついていた
 
 でも、その想いに応える事の
 できない俺は気づかないフリ
 を、ずっと続けていた
  
 高校生になった頃、俺は菜月
(ナツキ)に会って

 彼女を好きになった」

ナツキさんは生れつき体が弱く
激しい運動などはできない為に
いつも教室にいた。

「俺はほとんど毎日、遅刻して
 学校へ通った
 
 特に体育のある日は、やって
 られなくて、その時間に
 かぶるように教室へ入ると
  
 いつも、ナツキだけが本を
 読んでいた
  
 始めはお互いに何も話さな
 かったが、次第に俺たちは
 二言三言話すようになった」

二人が、惹かれ合うのに時間は
全くかからなかった。