二人は抱き合い、幾重にもキス
を交わす。
 
それは、とても優しいキス。
 
決して、私の事を傷つけようと
している訳では無い事は

壊れないようにそっと私を
抱き寄せる彼の腕の強さ

温もりから伝わる・・・

ただ、アキラさんは、私の
本当の気持ちを知らない。
 
私の彼への想いを知れば
きっと、その想いに答える事の
できない彼は、キスを止め
抱き寄せる腕を解くだろう。
 
また、本当の私を知れば

彼はきっと私を拒絶する。
 
だから、私は何も伝えない。

彼も、私も、今だけでいい

・・・今夜だけで。

アキラさんの細く長い指が
私のシャツのボタンを一つずつ
外して行く。
 
彼がシャツを脱ぐと、甘い香水
の薫りが漂い

私は正気じゃいられなくなる