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―20××年 春―
静かな桜木の下、俺は花びらが数枚乗っている茶色いベンチに腰掛ける。
両手で大事に抱き抱えているのは、生後1年足らずの赤ん坊。
そして、抱き抱えながら左手に握っている花束。
これらが意味するもの、それは……
「紗英、本当は一緒に来たかった。
俺と紗英と、ひなたの3人で……」
腕の中ですやすやと寝息を立てる赤ん坊を一度見つめる。
可愛らしい寝顔だ。
「でも紗英、ひなたは俺が大事に見守っていくつもりだ。
だから、紗英もそこから見守っていてくれ。
今まで本当にありがとう……紗英。
心から愛してる」

