~みだれ髪~

「笑ったりしてごめんなさい。
 それじゃ、私これから塾だから、じゃあね和哉君」

 緊張が少し和らいだと思ったら、紗英はお辞儀をして歩き出す。



 このままでは行ってしまう。



 そう思ったとたん、俺は彼女を呼び止めていたんだ。



「はい……?」



「あ、あの、紗英さん。
 俺……俺は……」

 頭では思っているのだが、いざ言葉にして話そうとすると声が出てこない。



「……和哉君?」




 だけど、このまま最低男でいるのはごめんだ。

 だから俺は、

「俺は、あなたに謝りたい」



「……?」

「中学の時、ラブレターを貰って凄い嬉しかったです」

「……」

「だけど、俺はあなたの気持ちを考えずに自分のことだけを考えて……

 ……断ってしまった」