〝最低〟

 その言葉を聞いたとたん、体の中の心臓辺りに何かが突き刺さる気分に陥った。



 俗に言うショック状態。



 俺はますます先輩の顔を見ることができなくなり、振り返って先輩に背を向けて歩き出す。

 先輩は追ってくることはなく、俺はただただ先輩の言葉を頭の中で、何度も繰り返し繰り返し再生してはショックを受け、のサークル状態だった。



「俺は、やっぱり、許されない人間だ」



 些細な出来事ではあるが、場合によっては一生消えることの無い傷としてその人の心に刻み込まれ、その人を一生苦しませてしまうのだろう……



 俺は……



 もう恋なんて、いらない。



 恋なんて無くても、人間は生きていけるだろう。