その、

 『佐藤 香織』

 先輩は静かな声で話すも、ずっしりとのし掛かってくる重みを感じつつ、俺はうつ向いていた。

 先輩が言いたいのは、俺と紗英さんの関係のことだ。

 先輩も、紗英さんの友人で同じクラス仲間でもある。

 2人がプライベートで話をしている所は見たこと無いが、そういう関係であることは間違いない。



「……」

 いきなりの展開に俺は動揺させられつつ、今の気持ちを言葉にすることができなかった。

 いや、今でなくても、これからも俺はこの気持ちから解放されることは無い。



「……すみません」



 とりあえず謝っておく。

「まぁ、私もこんな他人のもつれ合いに口出しするような者でもないけど、これだけは言っておく……
 あなたは〝最低〟よ」