~みだれ髪~

 運命の女神は俺にもう一度チャンスを与えているつもりだろうか?

 そうであってたとしても、今さら何を言おうと恋が再開することはもう無いだろう。



 彼女の興味も既に他の男へと移っている頃合いだ。

 しょせん、たかだか一度の告白で失敗しただけのこと。

 俺以外にももっと良い男はたくさんいるはずだ。



 ……そんなことを心の中で思ってしまう俺は、またしても許せない男だな。



 だが正直、彼女から俺を見つめることは無くなっていた。

 彼女自身、過去を引きずるような弱い人間ではないということなのだろう。

 与えられた仕事を一生懸命にこなす姿が、今の彼女の姿だ。



「和哉君!
 またボ~ッとしてぇ~…
 もう少し紗英さんを見習いなさい!」