私はそう叫んだけど、先輩は全く信じてない顔で目の前に止まった電車のドアに進んでいった。
私はすぐそのあとに続き、さらに言い募った。
「わかってはいましたけど、まだ読み終えてない人にその先を言うのはマナー違反ですよ!」
すると、先輩はつり革に手をかけて、私の顔を覗き込んできた。
「じゃあ、トリックは?
弟が怪しいと思ってたんなら、トリックも見当ついてるよな?」
「そ、それは……」
くーーーっ!
本当に弟が怪しいとは思ってたけど、トリックはまた別の話で。
まだ、これから出てくる事実だってあるだろうし……


