塾帰りの12分


そうこうするうちに電車は野川駅に到着。

先輩はさっさと電車を降りて改札へ向かおうとする。

その腕をつかみ、私は改札と反対の、ホームの一番前へ先輩を引っぱって行った。


「一生のお願い。
先輩、私、何でもいうこと聞くから、家まで送るのだけはやめて!」


顔の前で両手を合わせ、拝み倒し作戦に切り替えた。


もうこうなったら、どんな手を使ってでも先輩を父から遠ざけないと!


野川駅のホームは、高架になっていて、一番前の端からは眼下に野川を見渡せる。

川原の土手には、犬を散歩させる人やジョギングする人が見えた。


しばらくじっと私を見下ろしていた北見先輩は、やがて口を開いた。