塾帰りの12分


「いや、だって、先輩が急に近づいてくるからっ」

言い訳すると、今度は右手でがっちり後頭部を押さえ込まれた。

「逃げるな」

「いや、そんなこと言われても、急にこんなの、ムリですって!」

必死に逃げようともがくけれど、ますます締め付けるように先輩に抱きしめられてしまう。


「ムリ、とか言うな。
黙って目つぶっとけ」

「そんな!
だって、こんなムードもなんにもない……、ン、ムムッ」



えーーーっ!

うそーーーー!

私の貴重なファーストキスがあぁぁ!!


目をつぶるどころか、真ん丸く見開いたまま、私の唇は北見先輩に奪われてしまった。