オクは、呆然と北見先輩を見やった。 北見先輩は黙ってその視線を受け止めている。 しばらくそうしていたけれど、やがてオクはフラフラとその場から歩き去っていった。 オクを見送り、北見先輩に目を移すと、先輩の口元に赤い血が見えた。 「あ、先輩、血が!」 ハンカチを差し出すと、先輩は首を振った。 「大丈夫だ。 それより、講義はいいのか?」 「え、ああ……」 腕時計を見ると、もう塾の講義が始まる時間だった。