塾帰りの12分


ホームで、ぼんやり電車が来る方向を見やって、電車を待っていると。



「よお、久しぶり」


「ヒャッ、せ、先輩!」


背後から突然耳元に声を掛けられ、慌てて振り返った私の後ろに立っていたのは、紛れもなく北見先輩だった。

慌てふためく私を、ニヤニヤ笑いながら見下ろしている。

半月ぶりだけど、ちっとも変わってない。

すっかり忘れてたけど、突然後ろから近づいてきて耳元に話しかけてくるのって、北見先輩の得意技(っていうか、いたずら?)だったっけ。

でも、たったそれだけのことがひどく懐かしくて、同時に嬉しい。

でもやっぱり、急に耳元で囁かれるのは心臓に悪いよ。

鼓動がめちゃくちゃ速くなってる。