両親の視線を感じながら、そっと相手を確かめる。 ええっ、先輩!? 液晶に表示されているのは、北見先輩の名前。 うそ!先輩から電話なんて、すごく嬉しい! でも、顔にはその気持ちを出さないようにして。 「ちょっと電話してくる」 平静を装って小さくつぶやき、ケータイを持って席を立つと、母がうなずいてくれた。 早く出たい! はやる気持ちを抑えきれず、父の横を通りながら通話ボタンを押した。 「もしもし」