その時、電車が大橋駅のホームに入り始めた。 兄貴はシルバーシートに座るばあさんの方をちらっと見やってから、こちらに向き直った。 「おばあさまと一緒に先に帰ってるから、おまえ、芦川さんを送ってこいよ」 「は?」 またおせっかいなこと考えてんのか? そう思ったが、違う理由だった。 「少し遅れて帰って来い。 もう一度ちゃんとおばあさまと話したいんだ」 「……わかった」 そういうことなら仕方ない。 俺は電車を降りるばあさんと兄貴を黙って見送った。