つまり、北見先輩の家は、うちより一駅分、高校に近いってこと。 ここからだと4駅。 あと12分の辛抱だ。 できれば一人で、文庫を読むか音楽でも聴いていたいところだけど、がまん。 今日はつかまっちゃったから、しかたない。 ファスナーのことを教えてもらった恩もあるし。 ……と、私は北見先輩の会話につきあうことを覚悟したんだけど。 当の北見先輩はポケットからケータイを取り出すと、 ワンセグでサッカー中継を見始めた。 マナーモードになっているようで音は出てないけど、熱心に画面を見つめてる。