「すまなかった」

頭を下げる兄貴に俺は顔をしかめた。

「よせって。
俺だって全部承知の上で付き合ってたんだから」

「でも、俺が押し付けたようなもんだし」


顔を上げた兄貴はこれ以上ないほど情けない表情をしてる。


「あいつを拒否しなかったのは俺の意志だ。
兄貴に押し付けられたなんて一度だって考えたことないよ。
それに……
もう済んだことだ」


俺がそう言うと、兄貴は俺の表情を伺いながら聞いてきた。


「済んだ……のか?」