塾帰りの12分


私は勇気を振り絞って答えた。


「ごめん。
オクのこと、友達としては好きだけど、付き合うことはできない……」


私がそう言うと、オクはまた押し黙った。

でもしばらくすると、聞いてきた。


『聡美、好きなやつとかいるの?』

「ううん。
そういう人はいない」


それは本当だった。

今は特に好きな人はいない。

ただ、オクは違うって思うだけ。


『じゃあさ、ためしに彼氏候補として俺と付き合ってみるってのはどう?』

「えっ!?」


彼氏候補?

なにそれ?