ベンチに座り、ハンカチを受け取って目元を拭いたらしいお兄さんが彼女に話しかけてるのが聞こえた。
「いや、だって、こういう話だって知らなかったからさ。
ちょっと、不意打ちだった。
俺がこういうの苦手なの知ってるだろ?」
彼女の方はクスクス笑っている。
「フフ、まあ、長い付き合いだしね。
でも、いい話だったでしょ?」
「……うん、感動したよ」
「やっぱりね!
修太郎もこういう話ならきっと一緒に楽しめるだろうなって思ったから誘ったんだもん」
「楽しめるっていうか……
確かにいい話だったけどさ。
今度からこういうのは、DVDになってからしてくれよ。
いい年の男が外で泣くのはちょっとな……」
お兄さんの声は、困ったような、照れくさいような響きを含んでいる。
大学生の、しかも東大生のお兄さんが悲恋映画見て泣いちゃうなんて……
なんかちょっと可愛い。


