やがて上映時間が迫り、場内が暗くなった。
私は足を組んでポップコーンの容器を少し上に持ち上げた。
この位置なら、ちょうど容器が私の胸を隠してくれる。
こうすればもうオクの腕が胸に当たることもないだろう。
案の定、暗い中で伸びてきたオクの手は、容器にコツンと当たった。
容器がさっきまでより高い位置になったのが暗くてわからなかったみたい。
でも、私は知らん振りしてスクリーンを見ていた。
フフン。
オク、変なこと考えちゃダメだよ!
私、オクと付き合う気とかまったくないし。
オクだって、『深刻に考えなくていいから、いつもの遊びの延長で』って言ってたでしょ!


