塾帰りの12分


手をつないだくらいで動揺してどうする!


自分自身に叱咤して、私はオクのあとについて、映画館の席に着いた。



「ほい、オレンジ」

「ん、ありがと」


自分の分のジュースを受け取り、座席のドリンクホルダーに入れた。


「あと、これも聡美が持っといて。
俺、手伸ばしてもらうから」

「うん」


オクからポップコーンのたっぷり入った大きな容器を受け取り、膝の上に置いた。


さっそくオクの手が伸びてくる。