でも、幸いというかなんというか。 ポップコーンとジュース2つを載せたトレイは両手じゃなくちゃ持てなくて。 オクがトレイを持ってくれたので、つないだ手を自然に離すことができた。 ……なんか、ほっとした。 奈津の忠告を意識しすぎかなあ、私。 だって、オクはいつもと変わらない笑顔だし。 「聡美、今のカウンターの店員の顔見た? ちょっとチンパンジーに似てると思わなかった?」 「ええっ、ちょっとそれ失礼だよー」 ――なーんて、会話もいつもどおりだし。