「よっ、聡美!」 待ち合わせたシネコンのロビーに行くと、オクは先に来て待ってくれていた。 「お待たせ」 「いや、時間ピッタリだし。 で、これだよね?」 オクは手にしたチケットを見せてくれた。 「あ、買っておいてくれたんだ。 お金、払うよ」 私が財布を出そうとすると、オクはそれを押しとどめた。 「いいって、いいって。 俺が誘ったんだし、今日は俺のおごり。 あっちでジュースとかポップコーンとかも買おうよ」 「ああ、うん」