兄貴は如才なく祖母と会話を交わしていたが――
「そうそう、修太郎」
「はい」
「園村さんのとこのお嬢さんのことなんだけど、その後も仲良くお付き合いしてるのかしら」
祖母のその質問に、兄貴は一瞬固まった。
祖母は笑顔で兄貴を見ている。
「ああ、ええ、まあ……」
兄貴の意識がこちらをうかがっているのがわかったが、俺は表情を変えずに立っていた。
「そう。
それならいいの。
きちんとしたおうちのお嬢さんですから、大切にね」
「はい……」
兄貴が神妙にうなずくと、祖母は俺の方をちらりと見た。
来るぞ。
そう思ったとたん、固い声が俺を呼んだ。


