「変なキーホルダーだな…」
俺が今、指でつまんでいるキーホルダーの事だ。よく見る八角形にチェーンが付いているだけのシンプルなキーホルダー。学校帰りに歩いていると、木に引っ掛かっているのが目に留まり、拾ってきた訳だが…。
「やっぱいらね…」
小さい頃から俺は物を拾うことが好きだった。いや、好きなわけじゃないが。癖みたいなものか。
拾った物の大半は「ガラクタ」だの「ゴミ」だの、なんの役にも立たない。
例えば、今も机に飾ってある「古びたライター」なんかがそうだ。
中2の時の下校中に、道に落ちてるのを見つけて
「この古びた感じ…金属製の重み…カッコいい!!某ホラーゲーに出てきそうじゃん!!」
なんて思って拾ってきて、結局なんの使い道もなかった。火が着かなかったからだ。
拾う前に確認するべきだった。なんて思うのは毎回恒例の事で、このキーホルダーもそうだ。
「キーホルダー見っけ!ラッキー♪」
なんて具合に。
よく考えれば、俺はキーホルダーなんか付けない。この時点で、自分には何の役にも立たないのだが、どういうわけか俺の天才的思考回路(笑)は、そんなことを考える前に「キーホルダーを見つけて拾う」=「タダで手に入る」といった考えになるわけだ。貧乏的だな、俺。
「面倒だけど、戻してくるか…」
チャリで行けば拾った場所まですぐ着くな、なんて考えながら椅子から腰を上げた時だった。
右手が眩しい。
…ん?…右手が眩しい…?
恐る恐る手を開いてみると、キーホルダーが激しく光っている。無茶苦茶眩しくて見てらんねぇ、なんて思った矢先に光が消えた。バカにしてんのか?
つーかいきなり光ったぞこれ?
「いったいどういう仕掛けだ…?」
右手に再びつまみ直し、目に近づけてみる。
再び光った。
「うおォォォォォォ!?目がッ!!目があぁぁぁぁ!!」
なんて某大佐の如く悶えまくった俺だったが、キーホルダーは一瞬しか光っていなかったから、実のところ大したことはなかったわけだ。
このフレーズ好きだからやっただけ。
なんてふざけながら見ていると、一つおかしなことに気づいた。
「あれ?文字なんか彫ってあったっけ?」