___カラン、コロン、カラン。

 その音は、聞こえたというよりも、頭の中に直接入り込んだ様な感じがした。まるで、鐘の様に強く響き、鈴の様に可愛らしく弾んだ音。

 私が前を見ると、首から上の無い人が立っていた。真っ黒なマントに身を包み、身長は私の倍ぐらいあった。そこら辺に据え付けてある街灯なんかよりも、背が高い。

 ーー……こ、こんばんは。

 私は、その人におずおずと挨拶をしてみた。私の声は、雨の音に掻き消されそうなほど小さかったが、果たしてその人の耳にちゃんと届いただろうか? いや、そもそもその人に耳など無いのだけれど。