光沙が………いない。


朝、悪夢にうなされて目覚めた俺の横に、光沙の姿はなかった。


光沙がいたはずの場所には、まだ暖かい布団と、小さな正方形の紙に書かれた、「きっと帰ってきます。」の文字。



回りを見渡しても、光沙の着物はない。


一緒にケータイをおいていた場所には、虚しく俺のケータイが光っているだけだった。



服を着て、部屋を飛び出す。


『―真幸。バイバイ―』


俺の悪夢が、脳裏をよぎる。


なんなんだ、あの夢は。


そんなはずはない。


光沙が俺をおいて、どこかに行くはずがない。