―外。 まだ少し肌寒い、冷たい風がすり抜ける。 波の荒い浜辺を、一歩一歩踏みしめながら、少しづつホテルから遠ざかる。 真幸のいるホテルから。 「……光沙さん。」 前には、邦人さんがいた。 「よく来てくれましたね。」 「………来たわよ。 だから、真幸は。」 真幸だけは。 「わかってますよ、警察は呼んでません。 まぁ、これからのあなたの返事にもよりますが。」