「―だから、私お見合いなんてしたくないよ!」


電話ごしでも、光沙の動揺が伝わってくる。


荒い息、


鼻をすする音。



涙声。



光沙の悲しみが、ひしひしと伝わってくる。



「光沙様っ!」


ドタドタという音の後に、ケータイから叫び声のようなものが聞こえてきた。



走り回る音と、争う音。


「ちょっ、光沙っ!」


―プツン。




電話が……切れた?