冷たい感触が私の首に押し当てられる。


恐怖で動けない自分に苛立ちを覚えながら、なおも動かない体に落胆する。


圧倒的な「恐怖」


知らずに、彼を求めていた。


いつも笑顔で、私の目を奪う彼を。


まわりから敬遠されていた私を、優しい人と笑った彼を。


目を細め、柄にもなく、助けを欲した。











―気づいたときには、彼の姿が、目の前にあった。


優しい腕に抱き抱えられ、最後に耳に響いた言葉は、あまりにも、私を混乱させた。



「――――光沙。


明日、桜の丘でまってる。」




私の頬に、冷たい何かが落ちるのがわかった。