「9:03」 ケータイの表示を確認し、慌てて歩調を速めた。 実は今日、邦人さんの誕生日プレゼントを買いに来たんだ。 明日、邦人さんは21歳になるの。 付き合って3年。 自分の婚約者を知るには、十分すぎるほどの時間があった。 邦人さんは私の整理がつくまでいくらでも待つと言ってくれたから。 「私はあなたを思って生きてきました。 いつかあなたも、私を思ってください。」 真幸と別れた車の中で、邦人さんは私の手をとってそういってくれた。