黒い布。
その下には白骨化した人間。
大きな鎌。

それが一般の死神。
だが目の前のそいつは雑誌にものりそうなきれいな女の子だった──


「ど、どうも今回あなたを死へ案内することになった、し、死神です」

肩に少しかかるくらいのボブカット。服装はあんまり詳しくないが今時の女の子らしい服装だった。

「ごめん…今なんて?」

突然駅のホームで待つ俺の体にぶつかってきた女の子。
どこのラブコメだ、と疑うほどのハプニング。とりあえず怪我でもしてて後から訴えられたら困るな…

「大丈夫?怪我無い?」
「は、はい!死神なんで…」
「立てる?」

ホームに転がる彼女に手を差し出す。すっと手が触れ彼女の自重が手に──かからない。
「あ、りがとう」
それでも彼女は俺の腕を引っ張り体を立て直す。やはり重さは無い。
「俺、火元。君は?」
「死神です」

自分の会話に茶茶を入れられたのと、腕への奇妙な感覚にイライラし声を荒げる。

「いや名前」
「死神です─」

そこから話すことはなく、俺は目の前の車両に乗り込んだ。

その数時間後だった。俺が再びその死神を見たのは。