光希は朝飛が休んだ日、担任に職員室に呼ばれた


光希はなんのことかと不思議に思いつつ、職員室に行った


担任の席をみつけると、手招きされた


生徒に人気のある黒髪が綺麗に揺れる


担当の数学の教科書が机に置かれていた


「若松が休んでる理由知ってるか」


切れ長の大人びた目付きで光希を見た


「え、よくわかんないです。多分、写真撮ってるんじゃ…」


光希が言うと担任は鼻で笑った


「写真?」


「はい」


先生は少し府に落ちないような顔をした


「そっか、お前は知ってると思うけど親が離婚してこっち来たんだもんな。色々あると思うから元気づけてやってくれ」



「は…?離婚」


光希がきょとんとすると先生は少し戸惑った


「知らなかったのか?まずいな、あんま人に言うなよ」


光希はうなずいたが、困惑して視線を落とした



光希は今までにないくらいに胸が苦しくなった


自分は朝飛について何もしらないと気づいてしまったからだ



「てゆーか、そんなこと、あたしじゃなくてもっと仲良い他の子に言ったほうが…、あたしは若松くんのこと何も…」


光希が小さくそうこぼすと担任は困ったふうに笑う


「俺は若松とお前が一番仲良く見えたんだけどな」


光希は制服を掴んで、首を振った


どうしたらそう見えたのだろうか


教室ではあまり関係のないクラスメイトを装っていたのに


「鈍感な相手には、態度で示さないと伝わらないぞ」

担任はそう言って笑った


その言葉に自分の気持ちさえバレていたことがわかって、光希は恥ずかしくなった


「違う…、あたしは」


小さく言うと担任は聞こえなかったのか、首を傾げた
「ん?」


「なんでもないです」



うつむいた光希の顔は、どうしようもなく熱くなっていた