朝飛は光希の手をひいて橋を揺らさないように慎重に一歩一歩進む


光希は縄伝いにときどき下を気にしながら歩いていく


「どこまで行くの?」


光希が震えた小さな声をだすと、朝飛は安心させるかのように言った


「真ん中くらいまで。もうちょっと。頑張ろうや」


光希は頷いてまた歩を進めた


少し気づいていたのだが、はっきり言って朝飛は優しい




初めこそ不審者かと思っていたが、優しい上に空気は読めるし一緒にいて安心するほどだった



写真を撮るときは退屈させないように笑わせてくれるし、暑い日はジュースも買ってくれる


モデルということで、重宝されているのかもしれない


途中ギシギシと揺れる橋にも高いという恐怖にも、なんとか耐えて橋の真ん中に着いた


「はぁー」


光希はため息をついてとりあえず安心した


朝飛は光希の手首から手を離して、写真をとるために一歩後ろに下がった


するとぐらりと揺れた橋に慌てて、光希は思わず朝飛の胸にとびついた



「あっ!離れないでっ!」


朝飛は驚いて硬直した




しかしすぐ朝飛は笑顔を作る


「あ、悪かったな、怖かったやろ」


光希はそう言われてハッと正気に返った


急いで朝飛から離れる


「ご、ごめん!びっくりして…」



「ええよ。こっちこそ悪かったな、急に離れて。大丈夫なん」


「…うん」


光希は頷いたまま顔を上げられなかった


不覚にも朝飛の優しさに胸がキュンとしてしまった


しかし光希は怖さで鼓動が早くなっているせいにして誤魔化した