シャッター

光希は橋の縄を掴んで深呼吸した


実は光希はこの橋を渡れたことがなかった


高所恐怖症の上疑り深いものだから、この小さな橋が信じられないのだ


この橋はもちろん木でできていて、あまり確りしていない


前に行ったとき、橋がギシギシ音をたてて揺れていたこと、光希は思い出して汗が出た


観光地ともなっているのだから、安全性には問題はないんだろうが



何回も深呼吸しているのに、顔色がみるみるうちに悪くなっていく光希に朝飛は心配そうに覗きこんだ



「ほんま大丈夫なん?無理せんでええで」


「大丈夫!」


光希が強気で言うと朝飛は後ろで苦笑いした


「なに意地になってんねん…」



光希はそれが聞こえたが無視して、震える体に力を入れる


そうして一歩橋に足をかけた


ギシッ


光希は小さく揺れた橋に驚き、橋から離れ地面にうずくまった


心配そうに見つめる朝飛に光希は呟いた


「やっぱり無理かも…」


朝飛は少し笑って、光希に手を差しのべた

「俺と行こや。2人なら怖さも半減するやろ」


光希は朝飛を見上げて頷き、手を握った