シャッター

朝飛は困ったように笑った


「それほんま?」


「本当だよ!馬鹿!」


光希がそう叫ぶと朝飛は苦笑いした


「なんで馬鹿やねん。大丈夫、小さい時の記憶やろ?」


朝飛はそう言って光希の手首を掴んだ


その瞬間光希の手のひらにじんわり汗が滲んだ

「ちょ…!やめて!引っ張らないで!」


朝飛は手を離して頭をかいた


「ほんまみたいやなぁ」



光希が橋の下を眺めて恐怖していると、朝飛は残念そうに呟いた


「モデルさんがそう言うなら仕方あらへんな。ここでは撮られへんか」


光希は朝飛の落胆ぶりに慌てた


「ほかには!?いいとこないの?」


「んーそうやなぁ、まぁ、あることにはあるんやけど…」


朝飛はそう小さく言って、その橋に視線を落とした


明らかに名残惜しそうに


朝飛は光希に気を使いながらも、やはり気に入った場所でとりたいようだ


さすがに光希にもそれは伝わっていた


光希は一度視線を橋に反らして、拳を握った



「やっぱり撮ろう!」


そういうと朝飛は目を丸くした


「え?急になんやねん」



急に光希が言うものだから、朝飛は戸惑っている


「撮りたいんでしょ」



「そらそうやけど、平気なん?」


光希は思いっきり首を縦に振った