「な、き…、キャーーッ!!」


光希は叫んで全力で逃げる


後ろの男は何かを言っているようだが、光希の耳には入らなかった


とりあえず今までにないくらいの速さで光希は道路を駆け抜ける



再び後ろを振り返ると、しつこくもまだ男は追いかけてくる


ちょうど、ここらへんは人通りが少ないため光希を助けてくれるような救世主はどこにいなかった


とにかく今は自分の足だけを頼りに逃げ続ける


もうすぐ家につくというときに、光希はさすがに速度も遅くなり、どんどん男との距離は縮まっていく


光希は恐怖や不安や疲れで体がふらつく



そしていきなり、ようやく腕を捕まれてしまった


光希は思わず泣きそうになった


後ろを向くと光希の腕を掴んだまま、男が膝に手をついて息を整えていた

光希が腕を振り払おうとすると男は慌てて頭を上げた


「いきなし写真撮ったらあかんよな!ほんまごめん、ちょっと待ってや」


光希は怯えたように男を見つめた


気づけば全身がガタガタと小刻みに震えている


さっきは遠くてよく見えなかったが、男は光希と対して変わらない年齢のように見えた