シャッター


その言葉に光希は自分でわかるくらい顔を赤くした


ふいをつかれたせいで、心臓の鼓動が早くなった


「き、綺麗って…」


光希は顔をそらして手元の草を握る



「ほんまやで」



朝飛は口調を変えずに光希の赤面に気づいていないのか、そう言った


光希はあまりの恥ずかしさに思わず言ってしまった


「思ってないくせに」



「そんなことあらへんよ!思ってるちゅーねん。あんたほんま疑り深いねんな」


朝飛は顔をしかめて光希を見つめた


光希はますます困ってしまった


「だって…、あたしより木とか花のほうがよっぽど綺麗だもん」



すねたように言うと朝飛は可笑しそうに腹をかかえて笑った


朝飛はそんな光希を怪訝そうに見た


「笑いすぎだし」


「なんでそんな卑屈なこと言うねん!おもろいわー」


光希は笑いながらそう言って、そのあとも少し笑いを堪えていた



そうして思う存分笑ってから光希は微笑んだ


「あんた自覚あらへんみたいやけど、綺麗やと思うで」


光希はもう我慢できなくなって立ち上がった


「あたし、帰る」


朝飛は光希を見上げて手を上げた


「おう、次も頼むで。今日はあんた撮れて良かったわ」


光希はそれには答えず土手を登って行った