シャッター

何分たっただろうか


たくさんの写真を撮る音が響いて、ただ朝飛のほうを見ていた


最初は恥ずかしくくすぐったい気持ちがあったが、朝飛の真剣な眼差しにその気持ちがすっかり消えてしまった


最後には心地よい気すらしてきたのだ






朝飛は集中がプツンと切れたように、土手の草の上に座った


「はぁ〜あ」


そうして伸びをする


朝飛も光希の隣に座った


朝飛はカメラを見て笑った


「まだ固いけど、初めにしちゃ上出来やろ」


満足そうにして光希に微笑む


「ほんと?良かった」



朝飛は頷き、呟く


「現像してみな、わからへんけど」



「ふーん」


光希は初夏の風を体で感じ、髪が靡く


いつのまにか蝉が辺りで鳴き始めていた


こうしてここでゆっくり座っているのは久しぶりのことだった


カシャッ


光希はその音で隣を見た


どうやら朝飛が写真を撮ったらしい


「今のええな。そんくらい自然でええねん」



「今の…ほんとに素だったけど、ちゃんと撮れたの?」


朝飛はニカッと笑った

「綺麗やったで」