そんな彼女を見ながら、僕は今時デリバリーで死神呼べるのかなどと考えていたら、彼女がまた僕に近寄ってきた。


「あなた、死にたくない?」


最初の質問と同じだ。
しかし今度の口調は何か焦っているような感じだった。


「まだ死にたくはないかな…」


「そ、そう…そうよね…うー……」


彼女は困ったように頭をかきながら、何やら考えているようだった。
しかしすぐに決心したように顔を上げ、僕を見据えた。


「あのね、驚くかもしれない…いや…もうすでに色々驚いてると思うんだけど、あたしは死神なの」


「はぁ…」


僕はもうとっくに気づいていたので、気の抜けたような返事をしてしまった。
だって誰がどう見ても死神だからだ。


「それでね、死神を呼ぶような人は死にたいって思っている人だけなのよ」


「だから、あたしは堂々と姿を現してさくっとヤっちゃえるんだけど…」


なにげに怖いことを言うなぁと僕は思った。

「死ぬ気のないヤツ…つまり普通の人間に姿を見られちゃまずいのよ」


「といいますと…」


「うん、あのね、もうあたしはあなたに姿見られちゃったから…生きててもらっちゃ困るの」