「……」


「どうすればいいんだよ、聡。家のためだって泣きつかれて、今まで散々親に迷惑かけてきて、初めて親にお願いされて、ここで断れんのかよ、聡!」


怒鳴っている慎一の目は充血している。


「それがなんだよ、慎一?」


「え?」


「だったら売れりゃいいだろうが!成功すりゃいいだろうが!」


「失敗したらどうするんだよ!」


「どうするもこうするもあるか!だったらなお更、意地でも成功するんだよ!それがロックだろうが!」


「どうしたの?」


二人の怒鳴り声を聞き、部屋に入ってくる慎一の母。その状況に驚く表情を見せる。


「話になんないよ……」


慎一がベッドに座りながら呟く。


「慎一。和樹は……会社を継がねぇそうだ」


「え?」


「お前だけじゃねぇ、みんな今まで大事なもの捨ててきてここまで来てんだよ!お前もだろ、慎一!こんなとこで……こんなとこで、終われんのかよ!」


「ちょっと、お父さん、来て」


慌てて父を呼ぶ慎一の母。


「勇気だせよ!何、今更ビビッてんだよ!ここは退くところじゃねぇだろ!音楽のために大学まで行くのやめたお前が、今更退いてどうすんだよ!音楽になら人生賭けられるって、メンバーみんなで誓っただろ!」


「……」