そう怒鳴り目の前にある机をバンと叩く。


「……和樹。そのことなんだけど」


和樹に近寄りながら言う聡。


「聡、何言うつもりだよ?」


感づいたのか、竜太が割って入る。


「慎一な、実は」


「聡!」


「うるせぇ、黙ってろ!もう待ってても仕方がねぇんだよ!他にどうしろって言うんだよ!」


急に怒鳴る聡。それに納得したのか、竜太は黙り込む。


「慎一が……どうしたんだよ?」


聡に不思議そうに聞く和樹。


「慎一は……実は、風邪なんかじゃねぇ。バンドをやめるって、俺と竜太に言ってきた」


「……え?」


「でも」


「なんだよそれ!俺何も聞いてねぇぞ!」


「聞けって」


「じゃあなんで俺たち今練習してんだよ!」


「聞けよ!」


「……」


黙る和樹。和樹の向かいにある椅子に座る聡。


「でもな、それはあいつの本心じゃねぇんだよ。本当はやめたくない。でも、ここにきて急にやめなきゃなんねぇ理由ができた」


「……何だよ、その理由って?」


「それが、わかんねぇ」


「は?だいたい、なんでそんな大事なこと、俺には言ってねぇんだよ!」


お前には、言うなって慎一が言ってんだよ」


「なんでだよ!」