関東大会から全国大会にいけるバンドは三組まで。


審査員による特別推薦のスペシャルシートでもう一組いける場合もあるが、その可能性は四年に一回程度で、希望は薄い。


「では三十組目、最後のバンドです!」


全ての演奏が終わる頃、和樹と慎一が客席に来た。


「いよいよだな……」


「あぁ……」


四人は生唾を飲んだ。


「それでは、全国大会に進出したバンド三組を発表します!」


ドラムロールが聞こえてくる。


「まず、一組目は……」


心臓が高鳴る。


「ILAST ROCK!」


聡の目が大きく開いた。綾が言ってたバンドだ。


「そして、二組目……」


再び、ドラムロール。


「そろそろだよね?」


慎一が言う。


「あぁ、次ぐらいだろ」


和樹が答える。


「パンクパンサーのみなさんです!」


そのMCに、四人は少し不安になる。あと、一組……


「おいおい……」


和樹の口から漏れる。


「何、不安そうな声出してんだよ。あと一組あんじゃねーか!大丈夫だって」


そう言った竜太の表情も、少し曇っている。


「そうだよ、あんなにうまくいったんだ。俺たちを越えるバンドがそういてたまるか」