「だね。僕らの実力、見せつけてやろうよ」


慎一が言う。


「よっしゃ、行くか!」


聡の声に、四人は楽器を持ってステージに上がる。


スポットライトが眩しく、客席が薄っすらとしか見えない。


それでも地区大会の五倍はあるステージと客席の広さに、少し足がすくむ。


「それでは一組目、三年連続本大会に出場の実力派バンド、WORLD LINEです!」


MCの声が終わるのと同時に竜太がメンバー全員に声を掛ける。


「いくぞ」


頷く三人。


スティックカウントを始める聡。


曲が始まると同時に、メンバーの心は一つになる。


昨日の練習とは比べものにならないグルーヴ、演奏力。


どれをとっても今までにないほど凄まじかった。


「ありがとう!」


曲が終わると、客席に向かってマイクを掲げた竜太が生声で言う。


沸きあがる歓声と拍手。


ステージを降りると、控え室に戻った。


「よっしゃー!完璧!」


突然竜太が叫ぶ。


「大成功だよ!」


慎一が続く。


「なんだよ、やればできんじゃん」


和樹が聡の背中をバシッと叩いて言う。


「痛ぇな、当たり前だろ、バーカ」


聡が笑って和樹に言う。すぐに携帯電話の電源をつけ、綾にメールする。


『綾!やったよ!大成功だ!間違いないよ!』


『見てたよ。凄かったね。やったね!』


そのメールを見て、聡は泣きそうになった。