家に帰った聡は、部屋に籠もってずっと綾とメールで会話した。


思い出話から始まり、綾が死んでから今までの楽しかったこと、悲しかったこと……


そうこうしているうちにどんどん時は流れ、一本の電話がきた。


「……もしもし?」


聡が電話に出る。


「もしもしじゃねぇよ、今何時だと思ってんだ!今どこだよ?」


竜太から怒鳴り声が聞こえる。


慌てて時計を見ると、もう四時だった。練習開始時刻を一時間も過ぎている。


「あ!悪い、すぐ行く!」


そう言って電話を切り、慌ててスティックを手に取り、自転車にまたがった。


『ごめん、綾。練習だ。帰ってきたらすぐメールするから。』


ペダルを漕ぎながらそう送る。


『聡、遅刻じゃない。(笑)ごめんね、私も時間気づかなかった』


そのメールを読み、ニヤニヤと返信する。


『ううん、綾のせいじゃないよ。俺が気づかなかったんだ。じゃあ、また後で。』


スタジオに着いた聡は、急いで中に入った。


「ごめん!遅れた!」