2010年、11月25日。
「ふぅ……」
カーテンの隙間から木漏れ日が差し込み、チュンチュンとスズメの可愛らしい鳴き声が聞こえる。
聡は目を覚ますと、布団をめくり上げ、部屋を出て一階に降りた。
太田聡、19歳。この春、高校を卒業したばかりだ。
前髪は目に入るか入らないかくらいの長さで、後ろ髪は少し長く、肩にかかるほどの黒髪だ。
ルックスは悪くなく、そこそこ女にもモテている。
聡は一階に降りると、冷蔵庫を開けて昨晩の残り物の肉じゃがを取り出し、レンジに入れた。
「聡、起きたらおはようくらい言いなさいよ」
そのとき、聡の背後から声が聞こえた。母の聡子だ。
「うるさいなぁ、わかってるよ」
聡は無愛想な返事をすると、レンジの温めボタンを押した。
「それより聡、あんた進路はどうするのよ?大学落ちたんだから、そろそろ考えないと。もう11月よ?」
聡子が腰に両手を当てながら言う。
「わかってるけど……」
「どうするの?今年も大学受験する?それとも、就職?」
「……どっちもしたくない」
聡は少し俯いて言った。
「そんなワガママ、言ってる場合じゃないでしょ。ずっとバイトしてるわけにもいかないでしょ?」
「俺は……音楽で食べていきたい……」
「ふぅ……」
カーテンの隙間から木漏れ日が差し込み、チュンチュンとスズメの可愛らしい鳴き声が聞こえる。
聡は目を覚ますと、布団をめくり上げ、部屋を出て一階に降りた。
太田聡、19歳。この春、高校を卒業したばかりだ。
前髪は目に入るか入らないかくらいの長さで、後ろ髪は少し長く、肩にかかるほどの黒髪だ。
ルックスは悪くなく、そこそこ女にもモテている。
聡は一階に降りると、冷蔵庫を開けて昨晩の残り物の肉じゃがを取り出し、レンジに入れた。
「聡、起きたらおはようくらい言いなさいよ」
そのとき、聡の背後から声が聞こえた。母の聡子だ。
「うるさいなぁ、わかってるよ」
聡は無愛想な返事をすると、レンジの温めボタンを押した。
「それより聡、あんた進路はどうするのよ?大学落ちたんだから、そろそろ考えないと。もう11月よ?」
聡子が腰に両手を当てながら言う。
「わかってるけど……」
「どうするの?今年も大学受験する?それとも、就職?」
「……どっちもしたくない」
聡は少し俯いて言った。
「そんなワガママ、言ってる場合じゃないでしょ。ずっとバイトしてるわけにもいかないでしょ?」
「俺は……音楽で食べていきたい……」